ESG投資とは?CSRとの違い、マイクロプラスチック問題から読み解く企業行動

 近年、大手コンビニ、スタバ等のコーヒーチェーンから宿泊業、アパレルメーカーに至るまで「脱プラスチック運動」が広がりを見せています。スターバックスは2020年までに全世界でプラスチックストローの全廃を発表し、ユニクロやZARAも買い物袋をプラスチックから紙製に順次切り替えていっています。

 背景には、プラスチックゴミによる海の汚染が、世界的に問題になっていることがあります。紫外線や波で劣化して細かく砕けた小さな「マイクロプラスチック」が、生態系に影響を及ぼすことが懸念されています。環境問題への関心の高まりは、ESG投資の盛り上がりと相まって、企業の行動にも影響を及ぼしています。

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マイクロプラスチックとは?

定義

 マイクロプラスチックとは、国連の海洋汚染の専門家会議の定義では「大きさが5mm以下のプラスチック」のことを指します。もともとは、レジ袋やペットボトル等のプラスチック製品だったものが、紫外線等により劣化し、細かくなったものがマイクロプラスチックです。1枚のレジ袋から数千個のマイクロプラスチックができるともいわれます。しかし、プラスチックは自然分解されないので、半永久的に残ってしまう特徴があります。

東京湾のイワシの80%

 マイクロプラスチックの広がりを調べる為、東京農工大学の高田秀重教授らは2015年に東京湾で釣ったイワシを調査しました。その結果、8割のイワシの体内からプラスチック片が出てきたといいます。海辺に捨てられたペットボトルやレジ袋は、紫外線や熱により細かくなると波に運ばれ、沖合に出ていきます。それが魚の体内に入り、食物連鎖を通じて私たちの体内にも入ってくるのです。

人体への影響

 人体に対する影響として、海洋汚染物質をマイクロプラスチックが吸着し、それが体内に入ることで健康被害を引き起こすとの指摘もあります。一方で、マイクロプラスチックが人体にどのような影響を及ぼすかについては、まだまだこれから調査が必要とされています。しかし、企業は予防原則的なアプローチから、脱プラスチックに向けた取り組みを進めています。

ESG投資とは?

定義

 ESG投資とは、売上や利益といった定量的な財務情報だけでなく、

Environment(環境)
Social(社会)
Governance(ガバナンス)

という定性的な3要素も考慮した投資のことを指します。欧米の機関投資家を中心に10年ほど前から広がりつつある概念で、ここ数年日本でも注目が集まっています。企業の脱プラスチックの動きは、まさにこのESG投資を意識したものといえます。

注目される理由

 年金基金など巨額の資金を長期にわたって運用する機関投資家にとって、投資事業のサスティナビリティ(持続可能性)は極めて重要です。短期的な利潤を追求するあまり、社会や環境への配慮に欠ける企業は、長期的に成功しないことを彼らは見抜いています。日本でいえば、近江商人の「三方よし」の精神に通ずる部分があります。

CSRとの違い

 ESG投資と混同されやすい概念としてCSR(Corporate Social Responsibility)があります。両社の違いは、投資家目線か企業目線か、にあります。ESG投資は投資と呼ばれるようにあくまで投資家が企業に対し、ガバナンスや環境、社会への取り組みを行っているかをウォッチするものです。

 対するCSRは、企業の社会的責任と訳されることから分かるように、企業自らが社会に与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダーからの要求に対し適切な意思決定を行っていくことを指します。したがって、CSR “活動” とセットで語られるケースが多いです。

まとめ

 世界中で広がりつつあるプラ製ストローやレジ袋廃止の背景には、企業経営のサスティナビリティを重視するESG投資の拡大がありました。実際に、2016年には世界の投資額の実に4分の1にあたる約23兆ドル(2,500兆円)をESG投資が占めています。しかしながら、日本においてはESG投資は投資額全体の3.4%に過ぎず、アメリカ(21.6%)や欧州(52.6%)に後れをとっています。とはいえ、これからのビジネスは、自社利益の追求だけでは成り立たなくなっていくことは間違いないでしょう。

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