中小企業診断士試験の「運営管理」についてやわらかく解説します。
独学者向けに、学習のポイントを分かりやすくまとめました。
生産管理の基本機能
生産管理の定義
「生産管理とは、財・サービスの生産に関する管理活動である。所定の品質・原価・数量および納期で精算するため、またはQ(Quality)・C(Cost)・D(Delivery)に関する最適化を図るため、人、物、金、情報を駆使して、需要予測、生産計画、生産実施、生産統制を行う手続きおよびその活動」
― JIS(日本工業規格)の定義より
生産管理のQCDとは?
生産管理のQCDとは、生産管理でコントロールすべき3つの項目を指します。
1)Quality(Q)
品質のコントロール
2)Cost(C)
原価のコントロール
3)Delivery(D)
納期のコントロール
品質(Q)のコントロール
製品の品質は、設計品質と製造品質という2つに分けられます。
1)設計品質
製造目標として狙った品質
2)製造品質
製品の実際の品質
設計品質と製造品質の差が小さければ小さいほど生産管理が効率的にされていると評価されます。なお、クオリティーの低い製品ができた場合だけではなく、過剰品質の商品を製造してしまった場合にも、生産管理の失敗と定義されます。
すなわち、計画(狙い)と実績の差を最小化するのが管理目標です。
原価(C)のコントロール
製品の原価は、標準原価計算によりコントロールします。
標準原価計算とは、標準となる製造原価を事前に設定し、実際に製造された原価との差を計算することで生産効率を分析する手法です。「標準」というとやや分かりにくいので、「目標」として捉えると理解しやすいかと思います。
品質に同じく、計画(狙い)と実績の差を小さくするのが管理目標であることがわかります。
納期(D)のコントロール
納期管理では、製品を完成すべき日、または顧客に製品を納めるべき日に、スケジュール通りに生産工程が完了しているかが問題です。
ここでも、計画(予定納期)と実績(実際の納期)の差を小さくすることが管理目標です。
また、「納期の短縮」は生産管理上の論点ではないことを覚えておく必要があります。納期の短縮は経営上の課題であり、生産管理上の問題ではないとされています。
QCDをどうやって管理するのか?
生産の4Mとは?
生産の4Mとは、生産管理(QCDのコントロール)を効率的に達成するために、経営者が働きかける経営資源のことを指す。
1)Material
原材料・部品
2)Machine
機械設備
3)Man
作業者
4)Method
作業方法 * Money(金)とする場合もあり
また、Information(情報または作業指示)を加えて4M1Iと呼ばれることもある。
これらを効率的に活用することで、生産管理の目標であるQCDをコントロールすることが求められます。QCDを精緻にコントロールできるようになると、よりリソース(4M)を効率的に配分できるという相乗効果もあります。
生産管理の基本用語
その他の生産管理に関する用語をいくつかピックアップして解説します。
PQCDSMEとは?
PQCDSMEとは、生産管理の3つのポイントであるQCDを拡張した概念です。基本はあくまでQCDですが、その他の要素もコントロールしようという考え方です。
1)Productivity(P)
生産性
2)Quality(Q)
品質
3)Cost(C)
原価
4)Delivery(D)
納期
5)Safety(S)
安全
6)Morale(M)
意欲
7)Environment(E)
環境
生産管理の3Sとは?
3Sとは、生産活動の合理化を進める際の3つのパターンを示したものです。
1)Simplification
単純化
製品の種類や仕事の種類を減らすこと
2)Standardization
標準化
モノや作業方法を一定にすることで原価を低減すること
3)Specialization
専門化
専業化を進めることで、専門企業としての優位性を確立すること