【2019年】ドラッグストア各社の営業利益率ランキング

ドラッグストア業界の市場規模は、2018年に7兆2,744億円に達しました。過去10年間で約2兆円を上積みするペースで急成長を遂げ、10兆円のコンビニ市場を視野に入れるようになっています。ここでは各社の有価証券報告書を元に、営業利益率ランキングを紹介します。

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ドラッグストア各社の営業利益率推移

ドラッグストア各社の営業利益率ランキング

順位 企業名 2017年 2018年 2019年
1位 株式会社マツモトキヨシホールディングス 5.3% 6.0% 6.3%
2位 株式会社サンドラッグ 6.4% 6.4% 6.0%
3位 株式会社クスリのアオキホールディングス 5.7% 5.4% 5.6%
4位 株式会社ツルハホールディングス 6.4% 6.0% 5.3%
4位 スギホールディングス株式会社 5.3% 5.4% 5.3%
6位 株式会社クリエイトSDホールディングス 5.8% 5.2% 5.0%
7位 株式会社薬王堂 4.3% 4.2% 4.2%
8位 株式会社コスモス薬品 4.4% 4.1% 4.1%
9位 Genky Drugstores株式会社 4.6% 4.4% 3.9%
10位 ウエルシアホールディングス株式会社 3.9% 4.1% 3.7%
11位 株式会社ココカラファイン 2.7% 3.5% 3.2%
12位 株式会社キリン堂ホールディングス 1.1% 1.5% 1.6%
13位 株式会社カワチ薬品 2.1% 1.7% 1.5%
14位 サツドラホールディングス株式会社 1.5% 1.0% 0.5%

小売業では、一般的に営業利益率5%を超えることが優良企業の条件とされています。例えば、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングの営業利益率は8.3%です。ちなみに、小売業全体の平均営業利益率は2.1%です。(出典:経済産業省「商工業実態基本調査」)

この基準に照らすと、2019年に営業利益率5%を超えたドラッグストア企業は6社です。それぞれ上から順に、マツモトキヨシHD、サンドラッグ、クスリのアオキHD、ツルハHD、スギHD、クリエイトSDHDとなっています。

マツモトキヨシホールディングスの高収益体質

ドラッグストア業界平均の営業利益率は2年前に比べ0.3ポイント減少しました。(2017年: 4.3% → 2019年: 4.0%)上記のグラフでも、各社軒並み利益率を落としています。そうしたダウントレンドの中、マツモトキヨシHDは営業利益率を1.0ポイント改善することに成功しています。

これは、マツモトキヨシホールディングスが極端な規模拡大をせず、収益性を高める方針を採っていることが要因です。同社の松本清雄社長は規模の拡大という「量」ではなく、収益性の改善という「質」を追求することを以下のように宣言しています。

マツモトキヨシHDの松本清雄社長は、「これまで当社は業界1位から順位を下げ、4番手、5番手となっていた。一方で、規模の拡大から質の拡大に転換を図り、業界No.1の利益率となった。」と述べた。

引用元:マツキヨ、ココカラ/勝ち残るための経営統合、マツキヨPBに期待

マツキヨとココカラの経営統合

同社は、ココカラファインとの経営統合により売上高1兆円突破を見込んでいます。しかし、プライベートブランドの更なる強化など収益性を重視する姿勢は堅持していく、としています。その為、ココカラファインに対し、経営統合前に不採算店舗を整理することを求めています。

マツモトキヨシHDの松本清雄社長は、不採算店舗については、「不採算店舗がある状態で経営統合すると、当社の収益率が下がってしまう。経営統合前に不採算店舗は整理してもらいたい」と述べた。

引用元:マツキヨ、ココカラ/勝ち残るための経営統合、マツキヨPBに期待

利益構造分析(粗利益率、販管費率の分析)

出典:各社の有価証券報告書を元に作成

上記のグラフは、主要ドラッグストア企業14社の利益構造を分析したものです。

バーの上端は粗利益率を表します。粗利益率の高い企業を見ると、プライベートブランドに強みを持つ企業(マツモトキヨシHD、ツルハHD)と調剤に強みを持つ企業(ウエルシアHD、スギHD)が上位を占めていることが分かります。

バーの下端は販管費率を表します。販管費率の低い企業を見ると、コスモス薬品、Genky Drugstores、薬王堂など食品比率が高い企業が並びます。食品は一般に粗利率が低いため、これらの企業は販管費をコントロールすることで収益を上げています。

フード特化型ドラッグストアの台頭

こうして各社の利益構造を分析すると、各社の採用している戦略が立体的に見えてきます。粗利益率を高める戦略を採る企業がある一方で、コスモス薬品を筆頭に、食品を強化することで顧客の来店頻度を高めながら、販管費をコントロールすることで成長してきた企業もあります。

コスモス薬品は、売場面積600坪と平均的なドラッグストアの2倍以上の大型店舗を展開しています。食品を強化する一方で、特売チラシを削減し売上を平準化することでローコストオペレーションを実現しています。

続いて、ドラッグストア主要企業の営業利益高をランキング形式で紹介します。利益率だけではなく利益高をチェックすることで、各社の規模感を把握することができます。

ドラッグストア各社の営業利益高ランキング

順位 企業名 2017年 2018年 2019年
1位 株式会社ツルハホールディングス 37,071 40,236 41,826
2位 株式会社マツモトキヨシホールディングス 28,431 33,565 36,028
3位 株式会社サンドラッグ 34,055 36,080 35,233
4位 ウエルシアホールディングス株式会社 24,078 28,826 29,045
4位 スギホールディングス株式会社 22,832 24,760 25,817
6位 株式会社コスモス薬品 22,237 22,749 24,775
7位 株式会社クリエイトSDホールディングス 14,441 13,861 14,241
8位 株式会社クスリのアオキホールディングス 10,676 11,862 14,147
9位 株式会社ココカラファイン 10,159 13,712 12,915
10位 Genky Drugstores株式会社 3,849 4,128 4,046
11位 株式会社薬王堂 3,184 3,527 3,886
12位 株式会社カワチ薬品 5,723 4,573 3,886
13位 株式会社キリン堂ホールディングス 1,298 1,937 2,034
14位 サツドラホールディングス株式会社 1,318 768 430

出典:各社の有価証券報告書、単位:百万円

営業利益高でトップに立ったのはツルハホールディングスでした。同社は積極的なM&A戦略で知られ、2017年には静岡県を中心に77店舗を展開し、売上高894億円の杏林堂グループHDを230億円で買収しました。(出典:日本経済新聞「ツルハHD、杏林堂買収」2017/09/08付)

ツルハホールディングスは日本全国に店舗網を持ち、北海道ブロック、東北ブロック、中国・四国ブロックではトップシェアを獲得しています。M&Aに頼らず自社単独での成長を図るコスモス薬品とは非常に対照的な戦略を採っています。

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