【企業解体新書】ツルハグループの特徴、強み、経営戦略と財務分析

 2019年度にドラッグストア業界売上1位に輝いたツルハホールディングス(ツルハドラッグ)。北海道旭川の発祥ながら、積極的なM&A戦略を武器に全国に勢力を拡大しています。

 今回は、そんなツルハホールディングスの特徴や強み、経営戦略を財務面から紐解きます。

 

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ツルハホールディングスとは?

 

 ツルハグループのルーツは、1929年5月に北海道旭川市に鶴羽薬師堂を創業したことに始まります。創業から58年が経過した1987年に初めて北海道外に店舗を展開し、現在では全国に2,000店を超える店舗を配置しています。

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ツルハホールディングス売上高・営業利益推移

 

ツルハホールディングス売上高・営業利益推移(2015年~2019年)

 ツルハホールディングスの2019年度の売上高は7,824億円営業利益は418億円でした。5年前に比べ売上高は約1.7倍になっており、同社が急速に成長していることが分かります。また、営業利益率は5.3%と、業界内でも比較的高いものになっています。

 

ドラッグストア売上ランキング推移

 

ドラッグストア売上ランキング推移(2015年~2019年)

 ドラッグストア業界の売上高推移を見ると、ツルハホールディングスがウエルシアホールディングスと並び大きく成長していることが分かります。2019年のドラッグストア業界の売上高は7兆2,744億円なので、ツルハのドラッグストア市場に占める売上高のシェアは10.8%になります。

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ツルハホールディングスの特徴、強み

 

 ここからは、ツルハグループの特徴や強みを3点に絞って解説します。

 

特徴1:積極的なM&A戦略

 

無形固定資産回転期間の推移比較(ツルハ、サンドラッグ、コスモス薬品)

 ツルハホールディングスの無形固定資産回転期間は15.4日とサンドラッグやコスモス薬品に比べ長くなっています。これは、M&A戦略を採っていない他社に比べ、ツルハのB/Sに計上されているのれんの金額が高いことを示しています。実際に、2019年5月時点でツルハのバランスシートには、のれん357億円が計上されています。

 

ツルハグループのM&A一覧

年月 内容
1929年05月 北海道旭川市に鶴羽薬師堂創業
1963年06月 北海道旭川市に(株)ツルハ薬局(現(株)ツルハホールディングス)を設立
1995年01月 ジャスコ(株)(現イオン(株))と業務・資本提携契約を締結
1997年12月 (株)クスリのアオキと業務・資本提携契約を締結
2000年11月 (株)ツルハが(株)ドラッグトマト(岩手県)の全株式を取得し子会社化
2001年11月 (株)ツルハが(株)リバース(神奈川県)を株式交換により子会社化
2002年06月 (株)ツルハが(株)ポテトカンパニー (山形県)の全株式を取得し子会社化
2006年11月 (株)くすりの福太郎(千葉県)と業務・資本提携契約を締結
2007年05月 (株)くすりの福太郎(千葉県)を株式交換により子会社化
2008年04月 (株)ウイングの株式を取得し子会社化
2008年07月 (株)スパーク(愛知県)の株式を取得し子会社化
2009年02月 (株)ウェルネス湖北(島根県)の株式を取得し子会社化
2009年06月 (株)リバースが(株)仁天堂(神奈川県)の株式を取得し子会社化
2009年08月 (株)サクラドラッグ(東京都)の株式を取得し子会社化
2010年10月 タイ国・サハグループとの業務提携およびタイ駐在員事務所開設
2011年04月 (株)ウイングの株式を取得し子会社化
2011年12月 タイ国におけるサハグループとの合弁会社設立
2012年07月 タイ国1号店(ゲートウェイ・エカマイ店)開店
2013年08月 (株)ウエダ薬局(和歌山県)の株式を取得し子会社化
2013年12月 (株)ハーティウォンツ(広島県)の株式を取得し子会社化
2015年10月 (株)レデイ薬局(愛媛県)の株式を取得し子会社化
2017年09月 (株)杏林堂グループ・ホールディングス(静岡県)の株式を取得し、同社および(株)杏林堂薬局(静岡県)を子会社化
2018年05月 (株)ビー・アンド・ディーホールディングス(愛知県)の株式を取得し、同社および(株)ビー・アンド・ディー(愛知県)を子会社化
2019年02月 (株)ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本が(株)広島中央薬局(広島県)の株式を取得し子会社化
2019年07月 (株)ツルハが(有)おおがたむら調剤薬局(秋田県)の株式を取得し子会社化

 上記はツルハグループのM&Aの歴史です。これだけの長さのリストを見ると、のれんが357億円に積みあがっているのも納得です。2019年度には、のれん償却額だけで39億円を計上しています。販管費の負担は重くなりますが、積極的なM&Aを推し進めることでドミナント化を図る狙いがあると考えられます。

 

特徴2:全国展開(店舗網の広さ)

 

ツルハグループ都道府県、地域別店舗展開数(2019年5月時点)

 ツルハグループの2つ目の特徴は、店舗展開が全国に広がっていることです。M&Aによる規模拡大も全国展開に大きく貢献しています。

 ツルハグループの総店舗数は2,082店舗です。(2019年5月時点)都道府県別では、1都1道2府29県に進出しています。コスモス薬品が圧倒的なプレゼンスを持つ九州地区や、まだ進出していない沖縄地区を除くと、全国くまなく店舗網を持っていることがわかります。これだけの全国展開を行っているのは、ツルハとサンドラッグの2社だけです。

 

特徴3:食品売場の強化

 

ツルハの食品売上構成比の推移(2015年~2019年)

 ツルハホールディングスの2019年度の食品売上構成比は22.3%です。業界トップクラスのコスモス薬品やゲンキーの6割に迫る食品比率には及ばないものの、ツルハの食品比率は年々ピックアップしています。2015年5月期に、成長戦略として「食品の導入と拡充」を掲げ、積極的な売場改装を進めてきました。

 売場改装を進めた結果、過去5年間でツルハの食品部門の売上高は約3倍に成長し、食品売上構成比も13.8%から22.3%に8.5ポイント伸長しています。現在は「食品の取り組み深耕」をテーマに、一部店舗で精肉・青果の取り扱いを開始するなど、その取り組みは広がりつつあります。

 

まとめ

ツルハホールディングスの特徴まとめ

1.積極的なM&A戦略
  ・これまで、総計20件を超えるM&Aを実施
  ・のれんの総額が約350億円に到達

2.全国展開
  ・日本全国に2,000を超える店舗を展開
  ・九州、沖縄地区を除く大半の地域でドミナント化

3.食品の強化
  ・ここ数年で食品のテコ入れを実施
  ・現在では売上構成比が20%を超えるレベルに

 

ツルハホールディングスの企業情報

会社名 株式会社ツルハホールディングス
TSURUHA HOLDINGS INC.
本社所在地 〒065-0024
北海道札幌市東区北24条東20丁目1-21
代表者 代表取締役社長 堀川 政司
代表取締役専務 鶴羽 順
設立 1963年(昭和38年)6月
資本金 100億23 百万円(2019年5月期)
事業内容 グループ会社の各種事業戦略の実行支援および経営管理
連結売上高 7824億47 百万円(2019年5月期)
電話番号 011-783-2755
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